意図した動きを実現するために、私たちは感覚情報を利用します。

コンサートホールの音の響きを実際に音を出して自分の耳で聴くというのもそうです。演奏中は目や耳や肌などで感じるさまざまな感覚に対する感度を上げて、運動出力(演奏)を調整します。このような運動制御の仕方を工学の世界ではフィードバック制御(feedback control)と呼んでいます。

感覚情報をフィードバックして出力の微調整を行う際の精度、すなわちフィードバック制御の精度を上げるにはフィードバック・ゲイン(感度)を上げることが制御工学の定石ですが、演奏中はこの原理に従っています。このフィードバック制御は身体の機能を維持したり、エアコンに用いて快適な室温を保ったり、まわりを見渡すだけでもじつに多くのものに使われ、役立っています。この制御方式は原理的にシンプルでよいのですが、欠点があります。速い動きに対応できないのです。速い動きというのは時間が短いので、感覚のフィードバックが間に合わなからです。そこで感覚のフィードバックに頼らない制御方式も必要になりました。それが次にお話する、内部モデルを用いた制御方式です。

小脳には体のダイナミクスの内部モデルが形成されていると考えらえれています。脳の中に自分の体の動特徴(ダイナミクス)が獲得されているのです。脳が自分の体の特徴を知っているということです。そのために、大脳が体を動かすための出力を出すと、結果的に体がどのように動くかを脳は計算できるのです。実際の動き見なくても予測できるのです。このような運動制御をフィードフォワード制御(feedforward control)といいます。フォードバック制御と違って、フィードフォワード制御の特徴は感覚フィードバックに頼らす、結果を予測して実行できることにあります。演奏のように正確で素早い運動を制御するのに適しています。感覚フィードバックに頼らない分、内部モデルの精度が結果を左右します。すなわち、よい演奏のためには精度の高い内部モデルを持つ必要があるのです。熟練した演奏家はよい内部モデルを持っていると思います。日々のトレーニングは、内部モデルをよくすることであるといってもよいかも知れません。
(「音大生・音楽家のための脳科学入門講座」p.39-40より)

ヴァイオリン



















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記事更新日:2022/07/30