熱帯雨林には、川のせせらぎ、木々のさやぎ、けものや鳥たちの鳴き交わす声、虫の音(ね)など、森林性の音源がとりわけ豊富に存在します。これらの多くは、人類の聴覚で「音」として捉えることができます。さらに、成熟した熱帯雨林の特徴として、膨大な種にのぼる昆虫たちの鳴き交わす声には、人類の聴覚で音として聴こえる音と、周波数が高すぎて人類の聴覚では音として聴こえないものの両方があることにも注目しなければなりません。
虫たちの音における中心周波数の分布は、人類の可聴域をはるかに超えた150,000Hz近くにまで及んでいることが近年明らかにされつつあります。それらのひとつひとつは、中心周波数を頂点とした二項分布的に広がる帯域成分を伴い、楽器の音のように複雑性をもった音たちを生み出しています。

こうした昆虫の種ごとに異なる超高周波が、種類として数かぎりなく、個体の数となるとまさしく天文学的な値に達する状態で作られているのが熱帯雨林環境音の実態です。虫たちの鳴き声の数知れない集積により、周波数の上限は200,000Hzにも及ぶことで、自己相関秩序をもった高複雑性超高周波を豊かに含む熱帯雨林固有の音の環境が形成されているのです。こうした高複雑性超高周波は、まさに熱帯雨林固有のものです。他のいかなる自然生態系も、その足元にも及ばないといってもよいでしょう。この地上で、質量ともにもっとも豊穣な音楽といえるかもしれません。
このブログ記事では、大橋力著「ハイパーソニック・エフェクト」p.240-242を参考とさせていただきました。
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記事更新日:2024/06/16