近代ヨーロッパの合理性を体現し、楽器の王様とも呼ばれるピアノの響きは意外なことに、ハイパーソニック・エフェクトの発現に必要な40,000Hz以上の超高周波を含んでいません。これに対し、武満徹作曲の『ノヴェンバー・ステップス第1番』における横山勝也の名演によって日本だけではなく世界でも高い評価を与えらえるようになった尺八の超高周波は200,000Hzに達します。
3次元スペクトルアレイに現れた音構造の変容を見ると、ピアノの高周波は私たち人間の可聴域の上限である20,000Hzにも達しないのに対し、尺八の高周波はハイパーソニック・エフェクトの発現を可能にする40,000Hz以上の帯域に及んでいるうえ、高度に複雑な波形の姿を見せています。こうして浮かびあがらせることのできた尺八のスペクトルアレイは、森羅万象をたったひとつの音で表現することを志す「一音成仏」という表現理念が、虚構とはいえないことを教えてくれます。尺八の響きはまさしく、ハイパーソニック・エフェクトを発現させるための音といってよいでしょう。
ピアノと尺八という対照的な楽器が奏でる音のスペクトルアレイの背後には、音楽をマクロな時間領域における定常的かつ離散的な〈線的情報世界〉の音の粒子の配列および組み合わせとしたうえで、楽譜と同じ理念に基づいて捉えている近代の西洋音楽と、ミクロな時間領域における非定常かつ連続的な〈非線的情報世界〉の粒子の動きとして捉えている日本音楽との、きわめて鮮明な対比があらわれています。そこには、異なる文化をもたらす脳機能体系の大きな相違を見ることができるわけです。尺八によく似た特徴をもつ音としては、バリ島のガムラン音楽の存在が挙げられます。
(大橋力著「ハイパーソニック・エフェクト」p.219-221より)

ガムランの音のスペクトルアレイ
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記事更新日:2024/06/10
3次元スペクトルアレイに現れた音構造の変容を見ると、ピアノの高周波は私たち人間の可聴域の上限である20,000Hzにも達しないのに対し、尺八の高周波はハイパーソニック・エフェクトの発現を可能にする40,000Hz以上の帯域に及んでいるうえ、高度に複雑な波形の姿を見せています。こうして浮かびあがらせることのできた尺八のスペクトルアレイは、森羅万象をたったひとつの音で表現することを志す「一音成仏」という表現理念が、虚構とはいえないことを教えてくれます。尺八の響きはまさしく、ハイパーソニック・エフェクトを発現させるための音といってよいでしょう。
ピアノと尺八という対照的な楽器が奏でる音のスペクトルアレイの背後には、音楽をマクロな時間領域における定常的かつ離散的な〈線的情報世界〉の音の粒子の配列および組み合わせとしたうえで、楽譜と同じ理念に基づいて捉えている近代の西洋音楽と、ミクロな時間領域における非定常かつ連続的な〈非線的情報世界〉の粒子の動きとして捉えている日本音楽との、きわめて鮮明な対比があらわれています。そこには、異なる文化をもたらす脳機能体系の大きな相違を見ることができるわけです。尺八によく似た特徴をもつ音としては、バリ島のガムラン音楽の存在が挙げられます。
(大橋力著「ハイパーソニック・エフェクト」p.219-221より)
ピアノの音と尺八の音のスペクトルアレイ

ガムランの音のスペクトルアレイ

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記事更新日:2024/06/10