私たちが生存する[環境の中の音]を観てみましょう。この地上でもっとも複雑な生態系であろう、アフリカや東南アジアの熱帯雨林の環境音は、豊かな超高周波の存在とそれらがミクロな時間領域にみせる複雑な変容とが、尺八の音やガムランの音との共通性を感じさせます。こうした熱帯雨林の音に豊かな高複雑性超高周波を与えているその音源は何でしょうか。鳥たちの鳴き声、木々のざわめき、水音など、その音源の候補は多種多様なものが考えられます。そしてこれらの貢献も決して否定できません。しかし、それらと大きく違った熱帯雨林特有の決定的な超高周波音源となっているものが存在します。それは、[虫の音(ね)]です。ちなみに、この音環境に棲む人類たちの本来の生存形態は、産業というカテゴリーに入らない〈狩猟採集〉です。

ジャングル














この状態から第一次産業といわれる農耕に転じ、文明への第一歩を歩みだした人々の生きる「村落」では、屋敷林や里山、村里などに、熱帯雨林のように壮麗高密度ではないものの、かなり豊かな自然環境音に恵まれたところがあります。そうした環境音たちは、周波数としてハイパーソニック・エフェクト発現に必要な40kHzをこえ、ミクロな時間領域におけるスペクトルの変容も単調ではないものをみせます。ハイパーソニック・エフェクトの発現を十分に期待できる高複雑性超高周波を含む音ということができるでしょう。

田舎の風景














次に、これまで挙げたような自然性の高い環境を離れ、いわゆる第二次、第三次産業に移った人びとの住む「都市」になると、音環境は、「森」や「里」と大きく違ってきます。その特徴は、まず低周波成分が多く高周波成分が極端に乏しい、という性質に現れています。高周波発生源として注目される車両類の発するブレーキ音を含む成分でもせいぜい30kHz台で、ハイパーソニック・エフェクト発現のために必要な周波数の下限40kHzをこえることは稀です。しかもそうした音の多くはミクロな時間領域においては定常的で変化に乏しく、よってハイパーソニック・エフェクトを発現させるのには程遠いものであるといわなけばなりません。このような都市の人工物の発する音の特徴は、ハイパーソニック・ファクターに欠けるという点でピアノの音と共通した性質をもっています。
(大橋力著「ハイパーソニック・エフェクト」p.221-223より)

オフィス街













Amazon:
ハイパーソニック・エフェクト
大橋 力
岩波書店
2017-09-23



NLP共同創始者ジョン・グリンダー博士認定校
ニューコードNLPスクール
ロゴマーク








記事更新日:2022/09/12