modalityの語源

英語の modality(モダリティ)ということばは、中世ラテン語の modalitas(モダリタス)という語に由来しています。そしてこの modalitas ということばは、同じくラテン語で〈尺度〉や〈方法〉などの意味をもつ modus(モードゥス)ということばを語源としています(参考:ジーニアス英和大辞典)。
 

modalityの意味

〈尺度・方法〉を語源的意味としてもつ modality は、現代英語において次のような意味で用いられています(参考:ジーニアス英和大辞典。例文は Oxford Advanced Learners Dictionary ならびにOxford Dictionary of English)。

(1)
様式[形式]的であること、様式[形式]性。


(2)〔
言語〕法性、法《可能性・必然性・蓋然性などについての話し手の心的態度》。

(3)
〔音楽〕法性。

(4)
〔論理〕様相、様態(mode)。

(5)
〔医学〕物理療法;様相。モダリティ。 例)They are researching a different modality of treatment for the disease. (かれらはその病にたいする異なる治療法の研究をしている。)

(6)
感覚、五感  例)the visual and auditory modalities. (視覚と聴覚)

(7)
[〜ties]政治的・外交的交渉において従うべき手順。  例)they addressed questions concerning the modalities of Soviet troop withdrawals. (彼らは、ソビエト軍の撤退の手順に関する問題に取り組んだ。)


 

「様相」や「法性」など、聞き慣れない日本語ばかりだと思われたかも知れません。ですが、中心的な意味はシンプルです。モダリティは要するに、〈どのような〉に関わることばである、と考えてみてください。

(2)の
意味での modality を取り上げてみましょう。「法性」と訳されていますが、これはあることがらに対して話し手が「どのような」態度・考えをいだいているか、について語るための言語学用語です。たとえば、「雨が降っている」という文に対し、「雨が降るかもしれない」や「雨が降っているらしい」など、話し手の考えや判断をはさみこんだ文のことを modal な文といいます。ここには、「雨が降る」というできごとに対して話し手が「どのような」判断をしているかが含まれています。〈どのような〉という意味が共有されているため、言語学の分野におけるモダリティの一例となるわけです。

 

もう一つ、(6)の意味での modality を見てみましょう。これもまた、五感のうち「どの(ような)」器官によって感覚しているか、を表すことばと考えることができます。たとえば、「目」という器官による感覚であれば「視覚」のモダリティとなり、「耳」という器官であれば「聴覚」のモダリティとなる、というわけです。

 

まとめると、modality は〈どのような〉という中心的意味をもっている、ということでした。それが言語学の分野になると、「法性(=話し手がどのような判断をしているか)」という用語になり、またさらに医学の分野になると「物理療法(=どのような治療法か)」などと訳され、そして政治の分野になると「外交交渉における手順(=どのように外交を進めるか)」などと訳される、というわけです。


 

modalityの関連語

語源の項で説明したとおり、modality とは、ラテン語で〈尺度〉や〈方法〉を意味する modus を語源とすることばでした。ここではその関連語を、とくに興味深い例にしぼって紹介したいと思います。

 

mode(モード)

日本語でも「本気モード」や「集中モード」などという表現で、日常的に使われていることばです。これも〈どのように〉という中心的意味で説明することが出来ます。たとえば、学生が「今日の試験は本気モードでいくぞ」と言ったとしましょう。ここには、その学生が今日の試験に「どのような」気持ちで臨むかが表されているため、mode(モード)ということばが使われているのです。

 

model (モデル)

同じく日本語として日常的に用いられている「モデル」も、じつはモダリティの関連語の一つです。これは、modus の語源的意味のうち「尺度」が発展したものと考えることができます。モデルには「模範」や「見本」などの意味がありますが、私たちはそのモデルを基準にして(=尺度として用いて)、自分のふるまいやファッションについて考えたりするものだからです。

 

multimodal(マルチモーダル)

modalityの意味」の項で、modality ということばには「感覚、五感」の意味があることを確認しました。その意味での modal に、「複数の」を意味する multi(マルチ)がくっついたのが、この multimodal(マルチモーダル)ということばです。五感のうち一つの器官だけでなく、複数の器官をもちいた感覚のことをマルチモーダルといいます。たとえば、目で見ているだけであれば「視覚」のみによるシングルモーダルですが、目で見ながら耳でも聞いているときは「視覚」と「聴覚」によるマルチモーダルということになります。


花











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記事更新日:2022/04/25