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▶バリ島の知のコスモロジー(3)超感覚を錬磨する
西洋文化では、実在するものと認められるものとして、意識(知覚できるものがベースとなった心の動き)、および延長(計測できるものとその空間的な拡がり)の二つを重視し、それ以外のものには感心を払わないようにしてきました。そして意識できるものと延長されるものは、言語、数式、楽譜などの記号(特定の分節構造に変換できる事象)として記録され、情報が固定化されることで客観的な存在となり、論理的な操作ができるものとして発展していきました。
このような言語脳モジュールの働きは、バリ島でいうスカラ(明示知)の領域のほんの一部に過ぎません。この機能は人間の脳内で発達したものであり、自然界において普遍的に連続性をもつ概念やイメージなどを離散化(デジタル化)させ、明確に区別できる概念およびその配列の形成を含む分節構造を生成および組織化し、それらを組み換えて利用しています。
人間の脳に宿る明示知と暗黙知
このような西洋文化における明示知の世界は、脳の非言語性機能の働きを無視し、言語性機能のモジュールにすべてを託そうとすること、つまり実体と異なる脳機能の自己認識と事実上一体化させてしまうものです。これは、私たち人類が何億年という悠久の時を経て蓄積してきた自然界に存在する連続性や流動性を本質とする暗黙知のみならず、明晰判断な姿をもたないだけでそれ自体の存在意義と価値を確かにしつつも、少なくとも明晰判断知と比較することもできないほど巨大な明示知全体の世界を旅するパスポートさえ破棄したことを意味します。
このブログ記事では、大橋力著「ハイパーソニック・エフェクト」p.509-511を参考とさせていただきました。
NLP共同創始者ジョン・グリンダー博士認定校
ニューコードNLPスクール

記事更新日:2024/06/19