New Code NLP School

NLP共同創始者ジョン・グリンダー博士、ニューコードNLP共同開発者カルメン・ボスティック女史が監修するニューコードNLPスクールの公式ブログです。

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2010年02月

NLPの起源について

NLPの起源と、これが創始された当初のモデリング・プロジェクトについてはご存知でしょう。1970年代始めという騒々しい時代(a heady time)に、ある二人の男が偶然出会いました。ジョン・グリンダーとリチャード・バンドラーです。二人の間に一つの新しい世界が生まれました。それがNLPです。二人は、選ばれた天才たちの言動と言語パターンに等しく魅せられ、そのパターンを再現し、人々に教えたいという強い思いを共有したのです。天才たちのパターンを再現しコード化するためにグリンダーとバンドラーが採用したプロセスは、モデリングとして知られるようになりました。トレーナーであるあなたが常に意識しておかねばならないことは、モデリングこそがNLPの基本的なスキルであるということです。現在のNLPではほとんど、グリンダーとバンドラーがモデル化したパターンの適用が中心となっています。


オリジナルのNLPでは、三人の天才たちがモデリング・プロジェクトの対象になりました。その三人とは、フリッツ・パールズ、ヴァージニア・サティア、ミルトン・エリクソンです。彼らは専門的な変化の仲介者(agents of change)であり、それぞれ得意分野で並外れた結果を出していました。彼ら天才たちは、グリンダーとバンドラーに自分たちの言動について何ら意識的に表現はしませんでした(パールズについては驚くことはありません。なぜなら、彼はグリンダーとバンドラーが出会って仕事を始めた時にはすでにこの世にいなかったのですから)。バンドラーと彼の同僚のフランク・ピューセリックは、パールズの亡くなる前に、純粋に真似ることで彼の言動を捉えました。三人の天才たち、フリッツ・パールズ、ヴァージニア・サティア、ミルトン・エリクソンは、無意識の卓越性(
unconscious excellence)に基づき、それぞれの魔法を行っていたのです。


この天才たちの専門分野についての知識をほとんど持ち合わせないまま、グリンダーとバンドラーは2年をかけて天才たちの言動の核心部分を明らかにするため、それこそ病的ともいえる熱意で取り組みました。グリンダーとバンドラーは、天才のパターンをノーナッシングステート
know nothing state)で学習しました。


NLP
の共同開発者たちは、変形文法のパターンを表現形式として用い、彼らの作業の成果を言語ベースのモデルにコード化しました。要するに、モデリングによってグリンダーとバンドラーは天才たちの暗黙のスキルを明らかにしたのです。そのようにして、NLPが誕生しました。

グリンダーとバンドラーが1970年代に運営していた会社は、人間行動の何たるかを問いかける者たち(minds) のいわば坩堝(るつぼ)のようでした。ジョン・グリンダーはカリフォルニア大学サンタクルーズ校の准教授、リチャード・バンドラーは4年生でした。クレスジ大学に着任したばかりの世界的な人類学者、グレゴリー・ベイトソンはグリンダーとバンドラーの仕事に興味を持ち、ミルトン・エリクソンに二人を紹介し、さらに二人への支援とフィードバックを申し出ました。二人に対するエリクソンの関心の深さは、後に 「魔術の構造 (Structure of Magic)」に寄せられた紹介文ににじんでいます。そこで彼はこう述べています「ジョン・グリンダーとリチャード・バンドラーは、私が同僚と15年前に試みたことを成し遂げている。」

1975
年、グリンダーとバンドラーは 「魔術の構造 III で、最初の二つのNLPモデルを初めて世界に発表しました。著名な出版社 "Science and Behaviour Books Inc" がマップにNLPを載せたことで、NLPという新しい分野への関心は瞬く間に広まりました。コミュニケーションや行動、変化の分野に関わる人々は、変化のワークでめざましい結果を得る方法を学ぼうとしました。グリンダーとバンドラーは、自分たちのモデルの適用の中でトレーニングコースを進んで提供しました。共同創始者たちがNLPの基本的な活動と考えていたモデリングの一部分として、NLPのトレーニングコースが始まったのです。グリンダーとバンドラーが主宰したトレーニングコースは、モデルの重要なテストの一つを提供しました。すなわち、他の学習たちがモデラーたちによってコード化されたパターンを使い、元のモデルと同様のパフォーマンスの変数(performance variables)を達成できるよう、彼らにコード化されたパターンを伝えられるかどうかのエビデンスを示すテストです。

そのようにして、NLPは卓越性のモデリングの手段としてスタートし、すぐに非常に活動的なトレーニングの一部分という側面を持ち、さらにトレーニングの結果としてNLPの適用が始まりました。NLPの適用の場では、NLPモデルのトレーニングを受けた人々が、それぞれのスキルをビジネスあるいは個人的な利益のために適用しています。

NLP
を専門的に使う人々の傾向を見ると、適用に関わる人々が大多数で、モデリングに積極的に関わる人々は少数派です。NLPのモデリングはより純粋なスキルで、トレーニングや適用よりも論理レベルがはるかに高いのです。言い換えれば、NLPのモデラーはトレーニングと適用に長け、NLPのトレーナーは適用技術が優れていなければならないということであり、その逆は正しくありません。つまり、NLPの適用のみに関わる人々は、トレーニングあるいはモデリングに長じる必要はないのです。

NLP
が適用とトレーニングに焦点を合わせているいま、上記のことが現代NLPのパラドックスとなっています。しかし、この分野を繁栄させるには、「新しい」モデリング・プロジェクトが切実に必要です。グリンダーとボスティックは、このパラドックスを覆そうと呼びかけています。NLPの適用はモデリングから始めるべきで、そこにこそ新しい一連のパターンが生まれると唱えているのです。

滝










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記事投稿日:2022/05/28

「NLP」という名称について

「NLP」という言葉は Neuro-Linguistic Programming の略称で、日本では「神経言語プログラミング」と訳されています。この名称は NLP の特徴を端的に表すものとなっています。

Neuro
(神経の):
外側の世界との接点は、五感の感覚受容体です。感覚の情報は、受容体から脳の皮質に投射され、変換されて、感覚に基づいた外側の世界の表象
が作成されます。
ーVisual 視覚
ーAuditory 聴覚
ーKinesthetic 体感覚
ーOlfactory 嗅覚
ーGustatory 味覚

Linguistic言語の):
私たちは、言語を通して感覚的経験をコード化し、個人的な意味を作り出します。私たちは、現在の感覚情報を以前にコード化した表象
と比較してマッピングし、次に、言語の記述をラベルすることにより、これを行います。

Programming(プログラミング):
(上述の)処理がされてきたものに反応する私たちの内側及び外側の出力パターン。

※ニューコードNLPスクールが主催するプラクティショナーコースの中で、Neuro, Linguistic, Programming, それぞれの用語の具体的な解説を行います。


脳










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記事投稿日:2022/04/02

「NLP」という名称について

NLP(神経言語プログラミング)は、1976年にリチャード・バンドラーとジョン・グリンダーが創始した行動モデル、および、一式の明示的なスキルとテクニックです。「主観的経験の構造の研究」と定義されるNLPは、脳(『神経』)、言語(『言語』)、そして身体との相互作用によって生み出されるパターン、または『プログラミング』を研究するものです。NLPの視点では、これは、効果的行動と非効果的行動の両方を生み出す相互作用であり、人間の卓越性と病理学の両方の背後にあるプロセスを適切に理解することができます。NLPのスキルとテクニックの多くは、心理療法、ビジネス、催眠、法律、教育などをはじめとする、プロのコミュニケーションの多角的な分野のエキスパートによる卓越性のパターンを観察することから開発されました。

Neuro-Linguistic Programming(NLP) is a behavioral model, and set of explicit skills and techniques, founded by Richard Bandler and John Grinder in early 1976. Defined as the study of the structure of subjective experience, NLP studies the patterns or “programming” created by the interaction between the brain(“neuro”), language(“linguistic”)and the body. From the NLP perspective, it is this interaction that produces both effective and ineffective behavior, and is responsible for the processes behind both human excellence and pathology. Many of the skills and techniques of NLP were derived by observing the patterns of excellence in experts from diverse fields of professional communication including: psychotherapy, business, hypnosis, law, and education.


引用:
Encyclopedia of Systemic Neuro-Linguistic Programming and NLP New Coding 
p.849 “Neuro-Linguistic Programming(NLP)”

http://nlpuniversitypress.com/index.html
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記事投稿日:2022/04/02

NLP誕生のきっかけとなった4冊の本

NLP was originated by John Grinder (whose background was in linguistics) and Richard Bandler (whose background was in mathematics and gestalt therapy) for the purpose of making explicit models of human excellence. Their first work, The Structure of Magic Vols.& (1975 & 1976), identified the verbal and behavioral patterns of therapistsFritz Perls(the creator of Gestalt Therapy) and Virginia Satir (internationally renowned family therapist).

NLPは、人間の卓越性に関する明快なモデルを作成する目的で、ジョン・グリンダー(背景は言語学)とリチャード・バンドラー(背景は数学とゲシュタルト・セラピー)によって創始されました。彼らの著作、『魔法の構造,第鬼 & 第挟』(1975年 & 1976年)では、フリッツ・パールズ(ゲシュタルト療法の創始者)とヴァージニア・サティア(家族療法の国際的な第一人者)の2人のセラピストの言語と行動のパターンが考察されました。

The Structure of Magic: A Book About Language and Therapy
Richard Bandler
John Grinder
Science and Behavior Books, Inc.
1975-06-01





The Structure of Magic II: A Book About Communication and Change (Structure of Magic)
Richard Bandler
John Grinder
Science and Behavior Books, Inc.
1975-08-01


上記2冊の本が、日本語版として、亀田ブックサービスより出版されました。
(2冊が1冊にまとめられています)
魔術の構造
リチャード・バンドラー
ジョン・グリンダー
亀田ブックサービス
2000-08-01




Their next work, Patterns of the Hypnotic Techniques of Milton H. Erickson, M.D. Vols. & (1975 & 1977), examined the verbal and behavioral patterns of Milton Erickson, founder of the American Society of Clinical Hypnosis (ASCH) and one of the most widely acknowledged and clinically successful psychiatrists of our times.

彼らの次の著作、『ミルトン・エリクソンの催眠的テクニックのパターン、第鬼 & 第挟』(1975年 & 1977年)では、米国臨床催眠協会の創設者で、現在、もっとも広く認知され、臨床的に成功した精神科医ミルトン・エリクソンの言葉と行動のパターンが考察されました。

Patterns of the Hypnotic Techniques of Milton H. Erickson, M.D
John Grinder
Richard Bandler
Meta Publications Inc.
1996-07-01


Patterns of the Hypnotic Techniques of Milton H. Erickson VOLUME2
John Grinder
Richard Bandler
Meta Publications Inc.
1997-06-01


上記2冊の本が、日本語版として、春秋社より出版されました。

ミルトン・エリクソンの催眠テクニックI: 【言語パターン篇】
ジョン・グリンダー
リチャード・バンドラー
春秋社
2012-04-25




ミルトン・エリクソンの催眠テクニックII: 【知覚パターン篇】
ジョン・グリンダー
リチャード・バンドラー
ジュディス・ディロージャ
春秋社
2012-04-25



引用:
Encyclopedia of Systemic Neuro-Linguistic Programming and NLP New Coding 
p.850 “Historical Overview of NLP”

http://nlpuniversitypress.com/index.html
NLP関連書籍





  








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記事投稿日:2022/04/02

NLP誕生のきっかけとなった4冊の本

ジョン・グリンダーとリチャード・バンドラーは、当時、心理療法の分野で高い成果を上げていた2人のセラピスト、フリッツ・パールズとヴァージニア・サティアの治療プロセスに注目し、NLP最初の研究対象に選びました。そして、その卓越した2人のセラピストの治療プロセス(おもに「言葉と行動のパターン」)について深く観察して模倣し、評価し、コード化しました。このプロセスについて書かれているのが下記の2冊です。

The Structure of Magic: A Book About Language and Therapy
Richard Bandler
John Grinder
Science and Behavior Books, Inc.
1975-06-01





The Structure of Magic II: A Book About Communication and Change (Structure of Magic)
Richard Bandler
John Grinder
Science and Behavior Books, Inc.
1975-08-01


上記2冊の本が、日本語版として、亀田ブックサービスより出版されました。
(2冊が1冊にまとめられています)
魔術の構造
リチャード・バンドラー
ジョン・グリンダー
亀田ブックサービス
2000-08-01



その後、3人目の研究対象として、ミルトン・エリクソンを加えました。

Patterns of the Hypnotic Techniques of Milton H. Erickson, M.D
John Grinder
Richard Bandler
Meta Publications Inc.
1996-07-01


Patterns of the Hypnotic Techniques of Milton H. Erickson VOLUME2
John Grinder
Richard Bandler
Meta Publications Inc.
1997-06-01


上記2冊の本が、日本語版として、春秋社より出版されました。

ミルトン・エリクソンの催眠テクニックI: 【言語パターン篇】
ジョン・グリンダー
リチャード・バンドラー
春秋社
2012-04-25




ミルトン・エリクソンの催眠テクニックII: 【知覚パターン篇】
ジョン・グリンダー
リチャード・バンドラー
ジュディス・ディロージャ
春秋社
2012-04-25




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記事更新日:2022/04/02

NLP最初の研究対象と研究方法

NLPは、1970年代初頭、アメリカのカリフォルニア大学サンタクルーズ校で、2人の創始者によって誕生しました。

カリフォルニア大学サンタクルーズ校公式サイト
UC Santa Cruz(英語版)

University of California, Santa Cruz, UCSC & Santa Cruz aerial view.
The Great Meadow is the undeveloped area between city and university.
サンタクルーズ














【NLP共同創始者】

ジョン・グリンダー博士(John Grinder, Ph.D 1940-) 
・NLP創始時は36歳。
・カリフォルニア大学サンタクルーズ校の言語学准教授。
・専門は変形生成文法(transformational-generative grammar)。
・短期療法(Brief Therapy)のひとつの潮流となったNLPをバンドラーと創始。

Grinder


















リチャード・バンドラー(Richard Bandler, 1950-)
・NLP創始時は25歳。
・カリフォルニア大学サンタクルーズ校の学生。
・専門は心理学。
・ゲシュタルト療法を研究する過程でグリンダーと出会い、共同でNLPを創始。

Bandler01

















【NLP最初の研究対象】

グリンダーとバンドラーは当時、心理療法の分野で高い成果を上げていた2人のセラピスト、フリッツ・パールズとヴァージニア・サティアを最初の研究対象に選びました。そして3人目の研究対象としてミルトン・エリクソンを加えました。研究対象として選ばれた3人は、それぞれ異なるセラピーのスタイルで、卓越した成果を出していました。

フレデリック・サロモン・パールズ(Frederick Salomon Perls, 1893-1970)
・ドイツ系ユダヤ人の精神科医、精神分析医。
・ゲシュタルト療法という心理療法の一つの学派を創設する。
・一般的にはフリッツ・パールズ(Fritz Perls)と呼ばれている。

Fritz_Perls
















ヴァージニア・サティア(Virginia M. Satir, 1916-1988)
・アメリカの心理療法家。
・家族療法(Family Therapy)の創始者のひとり。
・家族療法の母(Mother of Family Therapy)と称される。

Virginia_Satir
















ミルトン・エリクソン(Milton H. Erickson, 1901-1980)
・アメリカの精神科医。心理学者。催眠療法家。
米国臨床催眠協会の創設者、および初代会長。
 The American Society of Clinical Hypnosis(ASCH)

ミルトン・エリクソン















【NLP最初の研究方法】

グリンダーとバンドラーは、卓越した3人のセラピストの治療プロセス(おもに「言葉と行動のパターン」)について深く観察して模倣し、評価し、コード化しました。NLPではこの手法をモデリングと呼んでいます。

 Step1: 卓越した3人のセラピストを観察し、模倣する。
…無意識的な取り組み
 Step2: 模倣したものを評価する。…意識的な取り組み
 Step3: コード化し、マッピングする。…実用的なモデルとして確立する

このように、グリンダーとバンドラーが当時、心理療法の分野で高い成果を上げていた3人の心理療法家たちのセラピープロセスを研究した結果として誕生したものが NLP(Neuro-Linguistic Programming)です。


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記事更新日:2022/04/02

NLP誕生の歴史とその背景

1970年代のことです。アメリカのカリフォルニア大学サンタクルーズ校で、当時、言語学の准教授であったジョン・グリンダーと、同大学の学生として最終学年に在籍していたリチャード・バンドラーは、お互いのことをよく知るとても親しい間柄でした。

カリフォルニア大学
カリフォルニア大学サンタクルーズ校
キャンパスの写真
(2019年8月 中島志保撮影)











バンドラーは、精神科医フリッツ・パールズが提唱していたゲシュタルト療法に強い関心をもっていました。そして、バンドラーは、自分の友人で、SCIENCE AND BEHAVIOR BOOKS, INC. という出版社のオーナーでもあったボブ・スピッツアーのために、フリッツ・パールズのセラピーを研究することを思いつき、彼の個人セッションをできるだけ大量にビデオに録画しました。このビデオテープは後に、SCIENCE AND BEHAVIOR BOOKS, INC. から出版された『治療の目撃者』という本の材料となりました。

ボブ・スピッツアーは、サンタクルーズに貸家を所有しており、それを知人にレンタルしていました。当時、文化人類学や精神医学の研究者でありカリフォルニア大学でも教授として教鞭をとっていたグレゴリー・ベイトソンもサンタクルーズに住んでいましたので、バンドラーは、いくつかの理由から、ボブ・スピッツアーの貸家のすぐ近くに引っ越してきました。

バンドラーは、毎週一回、月曜日の午後に、ゲシュタルト療法を使ったグループワークを行いました。このグループワークの参加者はカリフォルニア大学の学生が多く、その参加費は1回5ドルという安いものでした。バンドラーは、この定期的に開催したグループワークの中で、フリッツ・パールズのモデリングによるセラピーの個人セッションを行い、クライアント役になった人たちに劇的な効果をもたらせていました。

バンドラーが行っていたフリッツ・パールズのモデリングは、直感的で卓越したものでした。また、モデリングの対象となったフリッツ・パールズ自身のレベルをはるかに超えるものでした。このように、自分の意識を深い変性意識状態に置いて、モデリング対象者が達成しているのと同じ、あるいはそれ以上のレベルのパフォーマンスを無意識的に達成できるようにする方法を、ディープトランスアイデンティフィケーション(Deep Trance Identification=DTI)と呼んでいます。

バンドラーは、理論的な解釈に秀でているグリンダーに、ゲシュタルト療法がとても興味深いものであることを伝え、自分が行っているセラピーの個人セッションを観察して、理論的な分析をして欲しいと依頼しました。しかし、グリンダーは気が進まず、バンドラーの依頼を断りました。しかしその後、バンドラーからの度重なる招待の末、グリンダーはしぶしぶバンドラーが行っているグループワークの会場に足を運んでみることにしました。そこではバンドラーとフランク・ピューセリックがゲシュタルト療法のワークを行っており、創始者であるフリッツ・パールズよりもさらに短時間でセラピーの劇的な効果を出していることを目の当たりにし、グリンダーは好奇心をそそられ、そのグループワークに加わることにしました。

バンドラーは、自分が行っているゲシュタルト療法のグループワークや個人セッションを、どのようにうまく進めているのか、また、どのやり方が効果的なのか、それらのことについてまだ正確に知ることができなかったのです。実際に、ある技を持っているということと、それをどのようにうまく使っているかを明瞭に知ることとは、大きな違いがあります。

そこで、グリンダーとバンドラーは、ひとつの試みを行うという約束を交わしました。それは、まず最初に、バンドラーがゲシュタルト療法のやり方をグリンダーに教えて、次に、グリンダーが、バンドラーがどのようにゲシュタルト療法を行って高い効果を出しているのかを分析して彼にフィードバックするというものです。こうしてグリンダーは、毎週一回、月曜日の午後に、このグループに参加して、バンドラーをモデリングしました。このとき、バンドラーは、特に重要だと思われるパターンを目配せしたり声の調子を変えたりしてグリンダーに知らせるようにしました。

グリンダーは、バンドラーが行っていることを観察し、素早く学び取り、明確に分析することに成功しました。そして、グループに参加した2ヶ月後には、そこで行われていることのパターンを抽出し、バンドラーと同じように実行することができるようになりました。グリンダーはその後、毎週一回、木曜日の午後に、「奇跡の再現」というテーマで、グループワークを開催するようになりました。月曜日の午後にバンドラーが行なったゲシュタルト療法のグループワークを、木曜日の午後にグリンダーが「奇跡の再現」という名称で同じ内容のものを行うというものです。この2つのグループワークから生み出される成果は成功していきました。

このように、バンドラーが直感的に行っていたワークを、グリンダーが分析し、パターン化した結果、NLPの最初の著書『魔法の構造』が誕生しました。セラピーの魔法使いが駆使しているスキルとして、第1巻では「言語パターン」が、第2巻では「非言語パターン」が分析的に記述されています。

The Structure of Magic: A Book About Language and Therapy
Richard Bandler
John Grinder
Science and Behavior Books, Inc.
1975-06-01





The Structure of Magic II: A Book About Communication and Change (Structure of Magic)
Richard Bandler
John Grinder
Science and Behavior Books, Inc.
1975-08-01




上記2冊の本が、日本語版として、亀田ブックサービスより出版されました。
(2冊が1冊にまとめられています)
魔術の構造
リチャード・バンドラー
ジョン・グリンダー
亀田ブックサービス
2000-08-01



バンドラーは、次に、家族療法の母と呼ばれるヴァージニア・サティアが、家族療法家のためにカナダで開いていた1ヵ月という長期間のトレーニングセミナーに参加し、ビデオに録画をするという仕事を得ました。バンドラーはもともとヴァージニア・サティアと会ったことがあり、非常に親しい間柄でした。バンドラーは家族療法のセミナーが行なわれているあいだ、ずっと録音室に閉じこもり、外界との繋がりはセミナー会場に設置されたマイクだけでした。彼は2つに分割したイヤフォンを持っていて、片方の耳で録音レベルを調節しながら、もう一方の耳ではよくピンク・フロイドのテープを聞いていました。

このトレーニングセミナーの最後の週に、ヴァージニア・サティアは、模擬的にカウンセリングが必要な状況を設定して、自分がこのトレーニングセミナーで教えてきた内容を使ってどのように解決するかについてセミナーの参加者に質問をしました。それに対してほとんどの参加者たちは回答することができず、当惑したようすで時間が過ぎていました。そのときバンドラーは、録音室から大急ぎで駈け下りてきて、バージニア・サティアが教えてきた内容を使って、カウンセリングの中で提示された問題を見事に解決してみせました。それに対してヴァージニア・サティアは、「まさにその通り」と言いました。バンドラーは、ヴァージニア・サティアの治療のパターンを意識して学ぼうとはしていませんでしが、参加者の誰よりもよく知っているという奇妙な状況になっていました。バンドラーはなぜ自分がそのような状況になっているのかを自分で理解することはできませんでした。そこでグリンダーは、ヴァージニア・サティアが教えていたものを、バンドラーからモデリングして、分析して見せました。バンドラーとグリンダーの観察対象者のモデリングの能率はかなりのレベルまで向上しており、ヴァージニア・サティアのモデリングは、2ヶ月ではなく3週間で仕上げてしまいました。

1976年、グリンダーとバンドラーは、ヴァージニア・サティアと共著で、『家族とともに変化』を出版しました。この著書では、セラピストが、知識をもって対応することが必要なコミュニケーションのパターンが分析され、家族療法のための基本戦略が論じられています。

Changing With Families a Book About Further Education for Being Human Vol 1. Viii, 194P
Richard Bandler/John Grinder/Virginia Satir
Science and Behavior Books, Inc.
1976-12






このようにして、グリンダーとバンドラーは、ゲシュタルト療法の創始者フリッツ・パールズと、家族療法の母と呼ばれるヴァージニア・サティアの、2人の卓越した心理療法家のモデリングに成功しました。フリッツ・パールズとヴァージニア・サティアはまったく異なる性格を持っており、同じ部屋で共に過ごすことができなかったという事実があるほどです。従って、2人のセラピーモデルは対照的であり、それだからこそ2人のセラピーをモデリングすることができたということが、グリンダーとバンドラーにとって補完的な効果をもたらしました。

そういった成果を知ったグレゴリー・ベイトソンは、門下生であるグリンダーとバンドラーに次のような提案をしました。

「アリゾナ州のフェニックスにミルトン・エリクソンという非常に奇抜な催眠療法家がいる。エリクソンを訪問して彼について研究してみなさい」

このベイトソンの助言を受けて、グリンダーとバンドラーは、アリゾナ州フェニックスにあるミルトン・エリクソンのクリニックを訪問し、彼について研究することにしました。ミルトン・エリクソンは、米国臨床催眠協会(ASCH)の創設者で、現在もっとも広く認知され、臨床的にも多くの成功を修めた精神科医です。グリンダーとバンドラーは、ミルトン・エリクソンが使っている言葉と行動のパターンを観察し、直感的なモデリングと緻密な分析を行い、彼の治療プロセスを実用的なモデルとして体系化させるため、2〜3日ほどで文章化して、2冊の本として出版しました。

Patterns of the Hypnotic Techniques of Milton H. Erickson, M.D
John Grinder
Richard Bandler
Meta Publications Inc.
1996-07-01


Patterns of the Hypnotic Techniques of Milton H. Erickson VOLUME2
John Grinder
Richard Bandler
Meta Publications Inc.
1997-06-01


上記2冊の本が、日本語版として、春秋社より出版されました。

ミルトン・エリクソンの催眠テクニックI: 【言語パターン篇】
ジョン・グリンダー
リチャード・バンドラー
春秋社
2012-04-25




ミルトン・エリクソンの催眠テクニックII: 【知覚パターン篇】
ジョン・グリンダー
リチャード・バンドラー
ジュディス・ディロージャ
春秋社
2012-04-25




2人の卓越した心理療法家のモデリングに成功したグリンダーとバンドラーは、その後、カリフォルニアで、医師やセラピストの手に負えないような重度のクライアントをセラピーする仕事を始めました。その際、グリンダーとバンドラーは、「あらゆる方法がうまくいかず、最後の最後の手段として、私たちのところに訪ねてきてください」という条件を提示していました。この条件は、ミルトン・エリクソンがクライアントの家族に提示していた条件と同じでした。ある意味、この条件というのは、クライアント側の「絶望的コミットメント」がなければ奇跡的治療はありえないということでもありました。

グリンダーとバンドラーは、NLPが誕生するきっかけとなる数冊の著書を出版したあと、一連のワークショップの開催を始めました。そして、これらの一連のワークショップの内容は、録音テープをもとに、後日、転記編集されて、次のような著書で紹介されています。

ーFrogs into Princes, Richard Bandler and John Grinder, 1979
 邦訳『王子様になったカエル』

ーTrance-Formations: Neuro-Linguistic Programming and the Structuer of Hypnosis, Richard Bandler and John Grinder, 1981.
 邦訳『あなたをかえる神経言語プログラミング』
  
Frogs into Princes: Neuro Linguistic Programming
Richard Bandler
John Grinder
Real People Press
1979-06-01





Trance-Formations: Neuro-Linguistic Programming and the Structure of Hypnosis
Richard Bandler
John Grinder
Real People Press
1981-07-01





あなたを変える神経言語プログラミング
リチャード バンドラー(著)
ジョン・グリンダー(著)
酒井一夫(翻訳)
東京図書
1997-10-01


ーReframing, 
Richard Bandler and John Grinder, 1981
 邦訳『リフレーミング』




リフレーミング―心理的枠組の変換をもたらすもの
リチャード バンドラー
ジョン・グリンダー
星和書店
1988-04-08



グリンダーとバンドラーが共同で行っていた一連のワークショップでは、強いトラウマを抱えた人々が数分でそれを克服できるような劇的なセラピーを達成していたため、NLPの存在が口コミで広がっていきました。その後、NLPは米国全土に広まり、英国をはじめとする西洋の国々、そしてアジア圏にも広まっていきました。

1980年、NLP共同創始者ジョン・グリンダーとリチャード・バンドラー、そして、NLP共同開発者ロバート・ディルツとジュディス・ディロージャの4人は、『NLP』という本を共著で出版しました。「NLP」という名称が初めて登場したのがこの著書です。これらの流れから、4人で編纂したこの著作によって「NLP」というものが完成されたと思われます。

Neuro-Linguistic Programming
John Grinder
Richard Bandler
Judith Delozier
Robert Dilts
Meta Publications
1980-06-01



また、1980年は、NLPの入門書『Magic of NLP』の初版が出版された年でもあり、NLPが心理療法の代替学派のひとつから、さらに適応性のある一般的なコミュニケーション心理学の方法論へと変容したという歴史的事実とも呼応しています。

Magic of NLP Demystified
Byron Lewis
Frank Pucelik
Crown House Pub Ltd
2012-08-13


上記の本が、日本語版として、株式会社メディアート出版より出版されました。

Magic of NLP―解明されたNLPの魔法
バイロン・ルイス
フランク・ピューセリック
メディアート出版
2005-07



同年7月4日、グリンダーとバンドラーの師グレゴリー・ベイトソンがこの世を去り、それと同時期に、グリンダーとバンドラーのパートナーシップが解消されました。そこで、続編となる『NLP』(第2巻)の編集と出版も中止となりました。

ロバート・ディルツとジュディス・リロージャは、未完成のプロジェクトを完成させるため、NLP事典の執筆に着手しました。そして、『体系的NLPとNLP新コーディングの百科事典』(全2巻)が完成し、2000年にNLPユニバーシティから出版されました。この事典はA4サイズで各巻800ページ、合計1600ページの大書となっています。

Encyclopedia of Systemic Neuro-Linguistic Programming and NLP New Cording, Dilts, R., & Delozier, J., 2000
NLP関連書籍















NLPの本質的な体系は、1980年に出版された『NLP』がこの世に現われたあたりでほぼ完成されており、その後は、NLPの体系を各分野に適用するメソッドしか展開されていないように思われます。このことについて、ジョン・グリンダーは、次のような警告を発しています。

「1970年代、私とバンドラーが行ったさまざまな帰納法的ワーク(例えば、卓越した心理療法家がセラピーを行っている場面のVTRを何度も繰り返し見ることによって膨大な生のデータからその卓越した心理療法家の言葉や行動のパターンを見出すワーク)の結果、「NLP」というひとつの新しい体系を生み出しました。そして現在、NLPは、ビジネス、教育、司法、セラピー、プレゼンテーション、スポーツ、芸術など、さまざまな分野で使われています。そして今後も、さらに広い分野に浸透していくことでしょう。しかし私の見るところ、1970年代に私とバンドラーがNLPを創始した後は、NLPのさまざまな分野への『適用』というものだけが存在しているようで、私とバンドラーが行ったような帰納法的ワーク、すなわち『新しいモデルを創造する』というNLP実践者が現れない限り、NLPはこれから徐々に衰退していき、やがて消滅すると思います」

Grinder

















NLP共同創始者ジョン・グリンダー博士認定校
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記事更新日:2022/04/02

NLP誕生の歴史とその背景(目次)

ニューコードNLPスクールのブログで、「NLP誕生の歴史とその背景」について書いた記事の一覧です。

NLP誕生の歴史とその背景(目次)
2010/02/01 NLPの誕生の歴史とその背景(目次)

NLP誕生の歴史とその背景
2010/02/02 NLP誕生の歴史とその背景 
2016/05/02 NLP誕生の歴史とその背景 ◀John Grinder著
2010/02/03 NLP最初の研究対象と研究方法

NLP誕生のきっかけとなった4冊の本
2010/02/04 NLPの誕生のきっかけとなった4冊の本
2010/02/05 NLPの誕生のきっかけとなった4冊の本

NLPの起源について
2020/03/01 NLPの起源について

NLPという名称について
2010/02/10 NLPという名称について
2010/02/11 NLPという名称について


NLP誕生の地サンタクルーズの時計塔
(2019年8月 中島志保撮影)
サンタクルーズ


















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